街中や駅、そして小売店の店頭で目にするデジタルディスプレイ。これらを通じた広告配信は「DOOH(Digital Out of Home)」と呼ばれ、現在急速にデジタル化とネットワーク化が進んでいます。本記事では、DOOHの仕組みと、実店舗ビジネスにおけるマネタイズの可能性について深掘りします。
OOH(Out of Home)とは「屋外広告」の総称で、看板やポスター、交通広告などを指します。これらがディスプレイに置き換わり、デジタル化されたものがDOOHです。
従来のポスター広告は、一度貼り付けたら数週間から数ヶ月間同じ内容を表示し続けるしかありませんでした。しかしDOOHでは、通信ネットワークを通じて映像を瞬時に切り替えることができ、時間帯や天候、さらにはAIカメラで認識した目の前の視聴者の属性(性別や年齢層)に合わせてリアルタイムに広告内容を最適化することが可能です。
DOOHをさらに進化させたのが「プログラマティックDOOH(pDOOH)」です。
これまで、屋外広告の枠を買うためには、代理店に電話をかけ、紙の契約書を交わし、長期間の枠を固定で買い取るという、非常にアナログなプロセスが必要でした。
しかしpDOOHの登場により、Web広告(Google広告やFacebook広告など)と全く同じように、広告主が自社のパソコンの管理画面から「〇〇エリアの、〇〇という条件を満たしたスクリーンにだけ、今すぐ広告を出す」といった買い付け(プログラマティック取引)が自動で瞬時に行えるようになりました。
実店舗を持つ小売業者が自社にDOOH(デジタルサイネージ広告)を導入し、新たな収益を得るための基本的なステップは以下の通りです。
まずは店舗内の適切な場所にディスプレイを設置します。レジの横、入口の真正面、または特売品の棚の上など、「顧客の視線が必ず集まる場所(トラフィックが多い場所)」を選ぶことが重要です。最近では、Android OSを搭載した安価なディスプレイと専用アプリを使うことで、初期投資を数万円程度に抑えて導入できるシステムも増えています。
設置したサイネージをインターネットに接続し、広告配信プラットフォーム(アドサーバー)と連携させます。ここで自社商品の宣伝(自社広告)だけでなく、外部のメーカーの広告(ネットワーク広告)を受信する設定を行うことで、広告枠の空き時間を自動的に収益化することが可能になります。
サイネージは「ただ広告を流すだけ」では顧客に見てもらえません。天気予報、ニュース、役立つ生活情報など、顧客にとって有益なコンテンツ(番組)と広告を適切なバランスで織り交ぜることで、視聴率(アテンション)を高める運用が求められます。
DOOHは、これまで「単なる壁」や「空きスペース」だった店舗内の空間を、毎秒利益を生み出す「デジタルアセット(資産)」へと変える魔法のような技術です。スマートフォンの普及により人々が常に下を向いている現代だからこそ、現実世界(リアル空間)で目を引くDOOHの価値は、今後さらに高まっていくと予想されています。
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